前回:「18歳成人」に賛成1(前提) 前回、16歳以上でなくては「成人」に必要な条件を満たさない、と結論付けました。今回はそのなかで、なぜ「18歳」を成人とするのかについて記述します。
ところで、最初の記事で書き忘れましたが、この成人年齢考察は18歳〜20歳の範囲の年齢条項がある法令を、18歳で統一するという前提で論じています。またそれ以外でも、結婚可能年齢については男女平等の観点から両性ともに18歳とするべきです。つまり、大人と子供の境界を定めていると考えられる年齢条項は一律18歳にしたほうが良いという意見です。そのように年齢条項を統一することで、権利と義務の関係をより明確にできると考えています。
さて、「18歳成人」とする理由について説明するにあたり、いまの成人が20歳と定められた理由から考えていきたいと思います。ただ、これについては、民法制定が1896年ということもあって、断定できるほどの情報はありませんでした。しかしながら、「20歳成人」には徴兵制度が関連しているというのは確かなようです。
フランス 20歳〜40歳兵役
オーストリア 20歳で徴兵
ドイツ 20歳で徴兵
ロシア(17歳以上志願可) 21歳で徴兵(20歳とする別データあり)
イタリア(17歳以上志願可) 21歳で徴兵(20歳とする別データあり)
ベルギー 20歳
オランダ 20歳(常備兵となる者)
ポルトガル 20歳
ノルウエイ 21歳
スイス 20歳
トルコ 20歳(1870年の軍制改革で20歳になったようです)
『 Ans.Q 質問一覧』War Birds
このように、20歳を徴兵年齢とした国が多いです。仏独はこの年齢を基準として21歳という成人年齢を定めました。徴兵制度と市民権を結びつけようとする心情は理解できます。そして、当時欧州諸国を参考として政治運営していた明治政府もこれに合わせたのではないでしょうか。
当時(1870年代)のフランスやドイツの場合、徴兵年齢は20歳、成年年齢は21歳なのです。日本は仏独の制度を承知の上で、徴兵年齢20歳、成年年齢20歳を採用しています。考え方としては両者を一致させる日本式の方が素直です(ただし日本は選挙権年齢については25歳制を採用しますが)。
『 Ans.Q 質問一覧』War Birds
しかし、肝心の「なぜ徴兵は20歳なのか」については分かりませんでした。もしかしたら明確な理由はないのかも知れません。つまり、ただ単に10の倍数で区切りが良かったから、ということなのではないかと思います。したがって、徴兵制度がなくなったいま20歳を成人とする理由はありません。
では、徴兵制度の代わりに何を基準にするかですが、それはやはり卒業などの生活の区切りということになると思います。環境が変わる時期に合わせて成人とすれば、今のように大学生への酒・煙草の提供が片や合法、片や違法となる分かりづらいこともなくなります。そして、そのように卒業の時期を区切りとするならば、高校の卒業が最も有効です。なぜなら日本では高校進学者が96.4%(
平成19年度『学校基本調査』文部科学省)と大多数を占めるからです。それに対し、16歳以上の進学で高校の次に該当者が多い大学は、51.2%(同)の進学率と大きく開きがあります。
また、成人年齢はなるべく低いほうが良いと考えます。その理由は二つあり、一つ目は、選挙権年齢が引き下がれば、投票者の絶対数が増加してより民主主義的であるということ。二つ目は、18歳を成人とすることで、若者の成熟が促されるのではないかという期待です。
ミルグラム実験や
監獄実験のように、「成人」という役目を与えれば、18歳でも成人らしく振舞うようになるのではないでしょうか。
さらに、現在署名140カ国、締約193カ国となっている『
児童の権利に関する条約』との整合性もあります。同条約では18歳未満の者を児童と定義し、保護の対象としています。
以上より、「18歳成人」が最も合理的であると考えます。確かに、最近の成人式での騒ぎを見ると引き下げに抵抗があることも理解できますが、逮捕者数を見ればあれは成人のごく一部にすぎないと言えます。米や英独などで18歳が成人とされていても問題が起こっていないことを考えれば、日本で実施した場合も特に混乱はないでしょう。
ところで、朝日新聞が国民投票法について『
国民投票法は、与党が民主党など野党の反対を押し切って採決。この過程で「玉虫色」の付則が付けられた経緯がある』と述べているのですが、
日本国民で年齢満十八歳以上の者は、国民投票の投票権を有する。
『日本国憲法の改正手続きに関する法律 第三条』
国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。
『日本国憲法の改正手続きに関する法律 附則第三条一項』
という条文は、「玉虫色」などではなく、かなり「18歳成人」寄りだと感じます。これは法律の条文ですので、一般的な文章と解釈の基準が異なる可能性がありますが、『できること等となるよう 〜 措置を講ずる』という書き方は、本当に朝日新聞の記述どおり『玉虫色』という理解で正しいのでしょうか。